読了 夏目漱石『硝子戸の中』硝子戸の中 (新潮文庫)作者: 夏目漱石出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1952/07/22メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (35件) を見る

 を読み終えたのは、バイト中の昼休みであった。
 バイトの休憩から上がり、レジ打ちをしていると千円札の中に先程まで私に語りかけていた人物がそこにいた。
 少し寂しかった。
 この人はもう死んでしまった人である。
 死者の書を読む事はこういうことなのだなぁ、と思ったが、この寂寥感はなかなか文章にしづらい。
 そこには確かに書を綴る故人の姿がそこにあり、あたかも読書中の私は夏目漱石がそこにいて目の前で私に語りかけている錯覚がそこにあった。
 人は死んでいくものなのだなと、久しぶりに実感した瞬間でした。