mahoroba_kokoro2004-11-21

 今日も一日、ダラダラしかけていた。小説を書いていたのだが、集中できないまま、いつの間にか他のサイトを覗いたりして脱線していたりした。
 このままではいけないと思い、運動不足の自覚もあったので気分転換も兼ねてマラソンしてみる事にした。
 最初は普通に走っていたのだが、途中で興を据えてみようと山を登ってみることにした。自宅から走って十五分くらいのところに山があるのだ。(今年の一月一日の「初日の出」の日記で「熊が出る」という看板があった山だ。)


 その山の麓にはやはり「熊が出る」という看板があった。今は秋だ。秋の熊は凶暴なのか、大人しいのかと考えてみた。多分、冬眠に備えているから凶暴なのではなかろうかと思った。でも、登った。
 最初のうちは熊が出る恐怖で一杯だったが、次第に薄れた。なぜなら、山を登るうちに別のことで頭が一杯になったのだ。自分は一体どこまで登るつもりかを考えていなかったのだ。
 私は一度来た道を戻る事が嫌いなのです。道に迷っても引き返す事はせず、別の道で帰る事を模索するのが好きなのです。同じ道を通るのが嫌いなんです。
 しばらく登っていくうちに、もう帰ろうかと思った。そこで、分かれ道があったら下る方を選ぼうと思った。そうして歩いているうちに分かれ道があった。一つは明らかにこのまま山を登り続ける道、もう一つはどうやら別の麓に降りていくらしい道。僕は後者を選んだ。


 次第にその道は道ではなくなってきた。人が通らない事もあってか、草が生い茂り、倒れた木々はそのままになり、道が草木に戻ろうとしているのだ。
 でも、僕は戻るのが嫌いだったので、進み続けた。倒れている木下を潜り、生い茂るススキをなぎ倒し、何とか前に進んだ。
 次第に心細くなった。バイトの時間に間に合わないかもしれないと思った。本気で遭難したかと思った。実際、迷った事には変わりはないと思う。いつの間にか道がなくなっていたのだ。
 僕は立ちすくんだ。その代わり、どうすれば最も効率良く家に帰れるのかを考えた。まだ、方向感覚は狂っていなかったので、とにかく平坦な方、人家が見える方に進路をとった。
 草木が生い茂る中を熊になったつもりで、ジャンプとスキップの中間みたいな動きで(分かるかな?)で突進したりした。そんな事、小学生以来やっていなかったような行動だ。
 手で土や草を掴んで登ってみたり、草を掴んで静かに下りてみたり。
 凄い冒険だった。マジ怖かった。
 最後はどこか知らない、貯水池に出て、その脇を足を泥に沈めながら進み、コンクリートの道に入っていった。


 生きて帰れてよかったと思う。
 これからバイトです。