DDD 1 (講談社BOX)作者: 奈須きのこ,こやまひろかず出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/01/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 117回この商品を含むブログ (418件) を見る

 賛否両論あるようですがいいんじゃないでしょうか。
 現代の社会病理的なものを現代の少年少女の鬱屈と絡めて、説得力のあるファンタジーにまで昇華したセンスは評価に値すると思います。
 なんだかんだで物語の構成力も良いと思います。食事シーンの後に過食・拒食についての語りが入ったり、体の欠損についての独白が入った後に義手の話題が挿入されたりと読者の物語の中の空気への誘導の巧みさはまさにゲームシナリオを書いていたが故の長所でしょう。
 ただ気になるのが専門的な勉強もなしに難しい話をキャラクターにさせること。wikipediaから拾ってきた知識で物語を組み立てられても困るのですが、広く知識を必要とする小説家には仕方が無いといえるかもしれません。コピー&ペーストの文章の羅列は「分かったような気になっているが本当は何も分かっていない馬鹿」を量産することになります。ネットで斜め読みした薀蓄は知識ではないということを読者一人一人の自覚が必要とされるところです。


 しかし、奈須きのこの文体のどこが駄目なのかは私には全く分かりません。