「少女神」第9号作者: フランチェスカ・リアブロック,Francesca Lia Block,金原瑞人出版社/メーカー: 理論社発売日: 2000/02/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 16回この商品を含むブログ (15件) を見る

 こういう小説の評価は非常に困る。
 はじめにドラッグありき。そこに同性愛とか不良少年・少女を絡ませればいかにも面白そうな話は出来上がる。だからこそ却って慎重に読み進めるべき作品ではあると思う。物語りを作る人は果たしてそういう題材を取り扱うことについてどう考えているのかを、読者は安っぽい感動に流されないようにしつつ考えなければいけないと思う。


 弱さとか自己憐憫の思想というのはたいてい、大人になることへの反動として出てくるのが常なのだけれどこの作品の場合は9つの短編がいずれも子どもたちだけの世界の中で完結している。
 その分夾雑物の混じらない純粋さを保つことに成功はしていると思う。


 ただその分、人によっては強烈なエゴイズムが鼻のつくような感じは免れないと思う。もともと小説とは個人的なものではあるけれども、この作品には世界とのつながりを求める足掻きすらない。
 十代の心の心象風景なのか安っぽい逃避なのかは読者にとってさまざま作品でしょう。