The Wall

お前ら随分忘れちゃいないか
目の前にある壁の事を
それは俺達が生まれた頃からあったのに
全然気づいちゃいないんだろうな


その壁はいつだって
空気も光も塞いでしまって
音も形も遮った


お前ら随分忘れちゃいないか
目の前にある壁の向こう側を
それは俺達が生まれた頃からあったのに
全然気づかない振りをしていたんだろうな


そうだろう?
お前ら随分忘れちゃいるが
俺達には目も耳もあるんだぜ?


なのにお前達ときたら
いつからか目も耳も塞いだままで
どうして壁の向こう側を知ろうとはしないんだ?


だってそうだろう
いつだって俺達は
全てを信じる事も疑う事も
自由だったんだぜ?


なのにどうした事か俺達は
昨晩降った雨に怯えながら
未だに傘を差したまんまだ


いい加減に気づけよ俺達は
いつだって何も知らなくたって
隣の奴らに声をかける事が出来るんだぜ?


いい加減に気づけよ俺達は
手を傘にふさがれて
壁を登る事が出来なくなっているのだと