天使のくれた時間

 恋愛よりも仕事を選んだ男が、「もし、あの時、恋愛を選んでいたら…」という「if」の世界に飛ばされるというもの。
 なんとなく「素晴らしき哉、人生!」に似ている気がした。
 「素晴らしき哉、人生!」は過程に重きを置き、今作「天使のくれた時間」は結果に重きを置いた感じ。
 確かにストーリー構成は似ているとはいえ、「天使のくれた時間」はよかった。
 「素晴らしき、人生!」は1946年製作、「天使のくれた時間」は2000年製作なんですけれど。
 「人間にとって大切なもの」は時代が移り変わり、文明が変化しても変わらないのだなぁ、と。
 この映画の良かったところは、「もしも」の幻想も「しかし、けれども」の現実も両方を受け入れ決して否定しなかった事。
 この手の話だとどうしても、空想的で理想的な自分が選択しなかった「もしも」の世界にばかりに溺れてしまいがちです。
 しかし、この話は「もしも」の世界に飛ばされた経験をしっかり受け止め、そこで感じた事を元に主人公が本当の幸せを目指し成長するというそういう「強さ」と「優しさ」の同居を見事に果たしたストーリー構成に感服。
 父親の正体に気づく娘のアニーの立ち回りも面白い。伏線の張りかたが鮮やかに決まり、なんとも清々しい気持ちにさせてくれます。


 それにしても、アメリカ人は裁判のシーンとクリスマスが好きだな。いや、今作に裁判のシーンは無かったんだけどさ。