上遠野浩平 『しずるさんと偏屈な死者たち』

しずるさんと偏屈な死者たち (富士見ミステリー文庫)


 百合モノとして名高い作品ですよ!?
 いや、どうでもいいですが。よーちゃんにもしずるさんにも(;´Д`)ハアハア出来ますよ。お勧めです(コラ


 で、肝心の中身ですがさすが上遠野御大将。我らの弱さをよく分かっていらっしゃる。これは一話当り40ページ程度の短編連作形式で、今巻には4話収録。
 その中の一つ「しずるさんと宇宙怪物」に出てくる人物の中で容疑者として嫌疑をかけられてしまう青年がいるのですが、その人がもうなんというか、身につままれるのです。あの青年があの後、大学とかどうすんのかなーと思いつつ、そこんとこは読者任せなんだろうなーと思う私なのでした。
 それと、「しずるさんと吊られた男」も良かった。上手くいえないけれども、何かをどこかで踏み外してみたい感覚というか、一人の人間が持つことの出来る『認知』の限界を手品を題材に表現して見せているのが見事。この話で使われる手品というのが、「〜秒後に爆発する檻からの脱出」というやつです。上手くいえませんが、「檻」も一つの世界なのですが、その檻の外にも日常が存在してその日常というやつは「檻」を内包している。そもそも、手品という概念が何処に位置するのかという疑問もあります。日常の中に手品があるのか、日常と手品は全く別の概念なのか。とかなんとか、そういうちょいと不思議な話です。