メイとサツキの季節(トトロ

 本屋でのアルバイトで棚卸という作業を行いました。店内の本を洗いざらい引っ張り出して値段と冊数を総ざらいする作業です。
 この作業をやっているとどんどん頭が麻痺してくるのです。口にすることといえば値段と冊数だけ。読み上げ係とメモ係の二人一組で作業を行うのですが、読み上げ係にしてみれば「1200円が一冊、1300円が二冊、933円が一冊…」といった具合に数字しか口にすることを許されず、メモ係にしてみてもそれらの数字をメモするだけなのですからその作業の単調さゆえに発狂死する人も少なくなく、死なないまでも精神を病んでしまい職場復帰が不可能になるほどの激務なのです。
 何せそれは文章ではなく口頭でのこと、文章で「二千円(にせんえん)」と書かれれば誰でも「二千円」と思えるのですが、口で「ニセンエン」と言われるとそれが「センエン」と聞こえることもしばしばで、「サンゼンゴヒャクニジュウキュウエン」が「サンゼンゴヒャクジュウキュウエン」と聞こえもすれば、書く方にしても字が汚い方ですと0と6の見分けがつかないと責任者の方から怒られ罰としてimidasを背中に十冊乗せて腕立て伏せを命じられる始末なのです。
 そんな地獄のような作業が朝の六時から行われた後に、朝の十時からは通常業務での仕事もあるのでした。


 憎い! 低学歴ゆえの単純労働者である自分が憎い!!! キー!!!!!