涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)作者: 谷川流,いとうのいぢ出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/08/31メディア: 文庫購入: 13人 クリック: 70回この商品を含むブログ (620件) を見る

 シリーズ七巻目。
「続きなんか考えてなかった」とか言いながらココまで話を転がせるのはさすがである。
ラノベは総じて拙い言語表現に陥りがちだが、この作品はウィットに富んだ語り口の助けもあり、スイスイと読ませられる。
内容もSFのガジェットを巧みに織り込みつつ、それでいて決して読者を置いてけぼりにしない作者の姿勢はラノベの利点を生かしていて好感が持てる。
読後感も非常に良い。
今作はタイムパラドックスがメインに置かれているのだが、そちら方面のキャラクター(=朝比奈みくる)ばかりでなく、サブに回ったキャラクター(古泉一樹長門有希)も魅力的に描かれている。


しかし、タイムパラドックスものなら偉大な先駆者が多数存在するから、どうしても『ラノベとしては』の評価からは自由じゃない。
ラノベに限るにしても『タイムリープ高畑京一郎)』があるし。


ところでシリーズ全般を通して言えることだが、キャラクター達は実は滅多な事では学区外に移動しようとしない。
世界を又にかけた大冒険小説とは打って変わった、時代を反映した見事なジュブナイルだと思う。
世界を思う代わりに時間を思う。つまり、世界の情勢を思う代わりに自分の行く末を思う。


つまり、僕達は「どこで何をするか?」よりも「いつ何をするのか」という方向に関心が向かっているのではないだろうか。
学歴社会の生んだ、想像力の衰退という弊害。


追伸
 ハルヒツンデレで決定。
 俺も長門さんから『寄贈』と書かれたチョコが欲しい。(明朝体で)