スプライトシュピーゲル II Seven Angels Coming (2) (富士見ファンタジア文庫 136-9)作者: 冲方丁,はいむらきよたか出版社/メーカー: 富士見書房発売日: 2007/07/01メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 46回この商品を含むブログ (98件) を見る

 斉藤環先生の『戦闘美少女の精神分析 (ちくま文庫)』と照らし合わせながら読んでみたくなるような物語構成。MS少女張りの戦闘兵器に身を包んだお嬢・ボーイッシュ・不思議系キャラが右に左に大暴れして、男の子は無力感を抱えたままうじうじする話です。
 ハリウッド映画を思わせるような本格的なプロットと、戦闘美少女のガジェットを組み込むことでライトノベルの読みやすさを維持したまま本格的なキャラクター造詣と舞台設定に成功している。


 今作はシュピーゲルプロジェクトとして同じ世界を舞台にした角川スニーカー文庫の『オイレンシュピーゲル弐 FRAGILE!!/壊れもの注意!!(2) (角川スニーカー文庫 200-2)』と本格的なリンクを見せる。同一事件をそれぞれの視点で別々に解決に至る過程を描いているのが面白い。発売は『オイレンシュピーゲル 2』が先であるため、基本的な結末は既に知りえているのだけれども、その分後発のこちらは早い段階で事件の内側に入り込んでいるところに作者の戦略性が窺われる。まあ、雑誌掲載時はどうだったのか知らないけれども。
 ミョーオーサマのワザモノが熱すぎる。腕は立つが不器用なおっさんから無邪気な子供への魂の継承が悲しくて熱くてせつな過ぎる。久しぶりにジュブナイルで涙腺にきました。