有頂天家族作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2007/09/25メディア: 単行本購入: 29人 クリック: 857回この商品を含むブログ (373件) を見る

 第十五回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞の森見登美彦先生の最新作。
 落語と文学の中間を行くような軽妙で飄々とした文体が魅力的。ただ事実を描写するだけの大衆小説の文体ともエンターテイメントのインフレ誤魔化しのライトノベルの文体とも違い、ただ純粋に言葉の面白さだけで読者を楽しませる力を持った昨今では稀有な小説家だと思います。
 今までは卑屈な学生を主人公に据えた作品が多かったのですが、今回は違います。
 しかし、よりによって狸が主人公。帯にはいきなり「父・総一郎はある日、鍋にされ、あっけなくこの世を去ってしまった」という唐突な残酷さ加減にくすりとさせられます。
 そんな残酷な唐突さと軽妙な文体でいい意味で突っ込みどころ満載な物語。かくも毛深き家族愛!!とか凄く笑えます。