モダン・タイムス [DVD]出版社/メーカー: パイオニアLDC発売日: 2000/02/25メディア: DVD クリック: 838回この商品を含むブログ (55件) を見る
弱い者の立場への憐憫がそこかしこににじみ出ている作品。
資本主義化以降、オートメーション化する労働を面白おかしく茶化すシーンには薄ら寒い狂気が漂っていて素直に笑えない。
物語というものは人を傷つけてなんぼなんだなぁと思いつつ、きっとチャップリンは社会を変えたかったんだと思います。
本来美徳の一つであった「一生懸命働く精神」が悪用され続ける限り、喜劇というのは人を傷つけるんでしょう。
そして私はこの映画の中の"ティティーナ"で初めてチャップリンの声を聞きました。
英語でもフランス語でもないそれは、ただ歌っている一人の男と笑いさざめく人々の様子から内容を想像するしかない不思議な曲です。
ラストで挫折に打ちひしがれるヒロインを慰めながらも殺人狂時代へいたるチャップリンに悲哀を感じます。
結局、人間としてあるべき姿って何なのか分かりません。
笑いの奥に潜む狂気と感動の中に含まれる悲哀が複雑な作品です。