街の灯 コレクターズ・エディション [DVD]出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2004/01/23メディア: DVD購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (40件) を見る

 1931年の作品。「キッド」、「のらくら」以降、「モダン・タイムス」以前。
 浮浪者の男が盲目の女性と恋に落ちる話。相変わらずチャップリンは浮浪者なんだけれども、なぜか紳士然としたがる様はどこかしなやか。この浮浪者はまた別の場面では富豪者の自殺を止め、仲良くなるんだけれどもその富豪者の変わり身の早さにはどこか不自然な所を感じる。そこら辺が風刺を利かせたところなんだろうなと思いつつ、オブラートに包んだ静かな反発心はあるのだろうけれど、基本的に面白おかしく観る事の出来る映画です。
 中期の作品ということで、まだ社会への怒りというよりも庶民への愛を訴えていた時期なんでしょう。

  • 名シーン

 

 ある事情により賞金を手に入れるために賭けボクシングに出ることになったチャップリン
 最初、適当にやって賞金を山分けするつもりだったがその相方が逃亡してしまう。
 急遽臨時で戦うことになった相手は一つ前のラウンドの勝利者を一発でのしてしまうほどの屈強な男だった。

 「強い人間と正面から戦うかよ」という前向きでしなやかな態度が面白おかしい。



 街の灯っていうのは庶民の一人一人の希望のことなんだろうか。「光」が見えない盲者は貧乏人で、目が見えるようになるための手術を受けることすら出来ない。目を見えるようにしてやりたい浮浪者もお金がない。余るほどお金を持った富豪者は他人には見向きもしない。
 トランプで一番強いのはジョーカー。生真面目な数字の序列は人間を機械化する。おちゃらけた態度、しなやかな姿勢が弱い人間に残された最後の武器なんでしょう。