異邦人 (新潮文庫)作者: カミュ,窪田啓作出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1963/07/02メディア: 文庫購入: 21人 クリック: 167回この商品を含むブログ (412件) を見る

 「母親の葬儀で涙を流さない人間は、すべてこの社会で死刑を宣告される恐れがある、という意味は、お芝居をしないと、彼が暮らす社会では、異邦人として扱われるよりほかはないということである。ムルソー(主人公)はなぜ演技をしなかったか、それは彼が嘘をつくことを拒否したからだ。(中略)ムルソーは人間の屑ではない。彼は絶対と真理に対する情熱に燃え、影を残さぬ太陽を愛する人間である。」 (解説より)

 『異邦人』の解説から。解説なしにここまで小説を読み込める人間になりたいです。


 母親が死んだ後に、「なんとなく」人を殺してしまった話。全体的に流れる倦怠感、主人公のフワフワ感は村上春樹先生の作品を思わせました。フワフワしている人間というのは、どこか子どもっぽい。子どもというのはよく大人の『常識』に対して疑問を投げかけてくるものだけれども、この小説の主人公も村上春樹の主人公もそんな気分を持ったまま青年でいる存在ということで共通しているのだと思います。