「少女神」第9号作者: フランチェスカ・リアブロック,Francesca Lia Block,金原瑞人出版社/メーカー: 理論社発売日: 2000/02/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 16回この商品を含むブログ (15件) を見る

 こういう小説の評価は非常に困る。
 はじめにドラッグありき。そこに同性愛とか不良少年・少女を絡ませればいかにも面白そうな話は出来上がる。だからこそ却って慎重に読み進めるべき作品ではあると思う。物語りを作る人は果たしてそういう題材を取り扱うことについてどう考えているのかを、読者は安っぽい感動に流されないようにしつつ考えなければいけないと思う。


 弱さとか自己憐憫の思想というのはたいてい、大人になることへの反動として出てくるのが常なのだけれどこの作品の場合は9つの短編がいずれも子どもたちだけの世界の中で完結している。
 その分夾雑物の混じらない純粋さを保つことに成功はしていると思う。


 ただその分、人によっては強烈なエゴイズムが鼻のつくような感じは免れないと思う。もともと小説とは個人的なものではあるけれども、この作品には世界とのつながりを求める足掻きすらない。
 十代の心の心象風景なのか安っぽい逃避なのかは読者にとってさまざま作品でしょう。

UNDERGROUND SEARCHLIE

秋葉原の先週の事件からの一連の流れを見ていると、どうしてもこの曲を連想してしまうんだよなぁ。
アンダーグラウンドなマグマが吹き出ている感じ。
ただ、心象と現実とアートの区別はつけないといけないよなぁ。


政治の失策は、時として万単位・億単位で人を殺すのに裁かれない不思議。


D

アオヌマシズマ

アオヌマシズマ

BEST&CULT

BEST&CULT

筋肉少女帯"福耳の子供'08"

昨日深夜放送のMUSIC JAPAN筋肉少女帯が出るのでビデオに録って観た。
新聞のテレビ欄には「本当に仲直りしたいのか?」と書かれていたものだから一体どんな突っ込んだ話をするのだろうと楽しみにしていたのですが、話題になったのはヌンチャクとひじきでした。


曲は"福耳の子供'08"


もしこのまま就職先が決まらなかったらリュックに猫を詰めてアンテナを売りながら旅をしようかと思います。

異邦人 (新潮文庫)作者: カミュ,窪田啓作出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1963/07/02メディア: 文庫購入: 21人 クリック: 167回この商品を含むブログ (412件) を見る

 「母親の葬儀で涙を流さない人間は、すべてこの社会で死刑を宣告される恐れがある、という意味は、お芝居をしないと、彼が暮らす社会では、異邦人として扱われるよりほかはないということである。ムルソー(主人公)はなぜ演技をしなかったか、それは彼が嘘をつくことを拒否したからだ。(中略)ムルソーは人間の屑ではない。彼は絶対と真理に対する情熱に燃え、影を残さぬ太陽を愛する人間である。」 (解説より)

 『異邦人』の解説から。解説なしにここまで小説を読み込める人間になりたいです。


 母親が死んだ後に、「なんとなく」人を殺してしまった話。全体的に流れる倦怠感、主人公のフワフワ感は村上春樹先生の作品を思わせました。フワフワしている人間というのは、どこか子どもっぽい。子どもというのはよく大人の『常識』に対して疑問を投げかけてくるものだけれども、この小説の主人公も村上春樹の主人公もそんな気分を持ったまま青年でいる存在ということで共通しているのだと思います。

完訳 グリム童話集〈1〉 (岩波文庫)作者: W.グリム,J.グリム,金田鬼一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1979/07/18メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 73回この商品を含むブログ (31件) を見る

 よく童話の原作が残酷であることを薀蓄語りしつつ面白がる人がいますが、そういった物の見方はとんだお門違いだと思います。
 童話は子どもの読み物だから、それは牧歌的なファンタジーで当たり前だと考えるのは想像力の欠如が生んだ大人の偏見でしかありません。
 

 とは言え私も私なりの童話観でしか話は出来ません。それでも私の考えを述べさせていただきますが、童話というのは子どもが直感的に生きる知恵を得るための教訓書だと考えています。
 グリム童話の中でやたらと肉を裂いたり食べたり焼いたりといったような場面が出てくるのは、それだけ中世ヨーロッパではそういった行為が身近で行われていたことの映しに過ぎません。自分達で家畜を育て、自分達で捌いてきたのだからそれが本来の生活であるということでしょう。
 目のまで肉親が死ぬことを目の当たりに、生命の不思議について考える機会に恵まれた人々はこうした中から物語を紡いでいったのだと思います。


 グリム童話の中では「じゅみょう」の話が私のお気に入りです。猿、犬、馬、人間のそれぞれの寿命は最初30年だったのだけれど、人間以外の3匹の動物は「生きることが辛い」と神様に寿命を縮めてもらい、人間は30年では短いとそれぞれの動物の縮めた分の寿命を貰った話。だから人間は30歳を過ぎると、馬のように重荷を背負ったり、歯を失った犬のようにうろうろしたり、年を取れば猿のように子ども達の笑いものになるんだという話です。