大塚英志『サブカルチャー反戦論』()
僕がいつも疑問に思っていた事がある。一般市民が戦争を語る事だ。新聞もテレビも胡散臭くて自分が何を知っていて何を知らないのかを、知っている自信が無い。
マスコミが本当の事を語っている保証がない中で、僕達は『戦争』を語る資格があるのかずっと疑問だった。
『平和』である事が大切なのだけれど、本当に平和が大切なのならとっくにそうなっているはずなのだ。
そんな風に口をつぐんだ僕がこの本を手に取ったのは幸運だったと思う。
僕達は視座の拘束から決して自由ではないのだけれども、この本に目を通すだけでサブカルチャーとの付き合いが大分違ってくるようになると思う。
少なくとも『機動戦士ガンダム』やハリウッド映画で戦争を語ってはいけない。それは当たり前の事だけれども、オタク趣味の無意識の中にはそういう風に考えてしまう危険性があるのだ。
そういう事を喚起している本著は、受動的である僕達を意識的にさせてくれる。