読了報告 秋山瑞人『イリヤの空、UFOの夏』2

 第二巻は主に夏の文化祭ネタです。微妙な非日常感が、何故かたまらなく懐かしい。自分の時の学園祭はどうだったかなぁ、と回帰を促すのはこの小説が良質的な証拠でしょう。
 ちなみに私の高校時の文化祭は、演劇部に所属していた事もあり、なかなかに力を入れておりました。そりゃあもう、スポットライトの下、女性の黄色い声を一心に浴びていたものです(注:思い出とは、すべからく美化されるものです)
 水前寺邦彦に燃え。
 ラストの六番山のシーンは『最終兵器彼女』を彷彿とさせました。(ただし、どうやら著者はその事に自覚的らしいですが)


 『番外編・死体を洗え』はサイコホラーじみて、特にラストの演出が利いていてとても面白く読めました。
 ちなみに、この作品中に出てくる『ノーベル文学賞を取った、メガネでオヤジの日本人の作家』とは『大江健三郎』の事で、その指すところは『死者の奢り』の事だと思われます。
 文学の素養も、こんな時にしか役に立ちませんね。フフフフフ…。