『イリヤの空、UFOの夏』『いたずらっこの本』

 の二冊を読み始めた。


 まず『いたずらっこの本』
 これはミヒャエル・エンデの著作なのだが、ぱっと見詩集。あの人間への想像力と創造力への同時に働きかける豊かな叙情性は、やはり実際に読んでみて欲しい。
 すらすらと読み進めていて、途中でやめた。
 この本はまだ読み終えたくないと思ったのだ。
 心と共に生きる喜びが詩の中にはある。


 『イリヤの空〜』は第四巻。
 秋山瑞人の文章は読みやすく面白く、すらすらと読めた。
 でもやっぱり途中でやめた。この小説を読み終えるのがやっぱり嫌だった。
 私の悪い癖なのだが、小説やアニメや漫画といった連続モノの物語作品を自分の中で終えてしまうのが怖いのだ。何もかもを中途半端のままにしたまま、自分の中に『次回に続く』状態をとどめておきたい感覚があるのだ。
 でも、これも甘えなのかな、とたまに思う。この前、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』を読んで学んだ事なのだが、自分が手に入れた物語は永久に心に残るのだと思う。
 (本物の)架空の物語を、現実に持ち込むことが可能なのだ。読み終えた後と、読み終える前とはそこにあるものが違う。
 小説は読み終えられるのを待っている。そして、自分の中から何かを発見してくれている事を、小説は僕達に期待している。
 物語の中から持ち帰ったもので、一見平凡な日常をとても意味のある豊かな世界に帰ることが出来るし、逆に日常で感じた苦痛や喜びで、今自分が読んでいる物語をより味わい深いものにする事も出来る。
 それはとても素晴らしい事だと思う。
 だから本を読む事と、人と交流する事はやめられない。


 そして僕もそういう小説を書きたいと思う。